解体工事といえば騒音や振動などの公害が話題になり危険な仕事といったイメージがありましたが、技術革新の進んだ今日では、そうした諸問題を解決する為に新しい工法が開発され、官民あげての取り組みが進んでいます。
我が国における低振動・低騒音工法の水準は世界でも他に類を見ないほど進んでいます。特に油圧式圧砕機、静的破砕剤の開発や防音パネルの使用によって振動・騒音を著しく減殺、規制値以内に押さえ解体工事現場の環境保全を図っています。
まず、一般的な建築物を解体する工法を、ご紹介します。どの工法も工事に先行して仮設養生及び内装等を人力にて撤去し建築物を躯体(裸の状態)にする事は共通です。
◎印は、現在の主流工法とされて居ります △印の工法は、工期長やコスト高な為、特別な場合に採られる工法です。
※最初から重機や機械で壊す工法は違法です
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△ 手壊し工法 その名の通り、人力だけで建築物を解体する工法です。新築時と逆の順序で解体します。騒音や振動などは皆無に等しく「建設リサイクル法」による分別解体もほぼ完璧に実行することが出来ますが、工期が長くコスト高な為、道路狭小で重機やダンプが入れないなど特別な場合を除き殆ど行われて居りません。 |
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◎ 重機併用(手壊し)工法 先述の手壊し工法に重機を併せた工法です。「建設リサイクル法」で指定された箇所及び重機を敷地内に設置する場所を確保するまでは人力解体し、その後は重機及び人力で解体します。最も一般的な工法です。 |
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△ ハンドブレーカー工法 エアコンプレッサーを動力源としハンドブレーカーだけでコンクリート躯体を壊す工法です。重機を搬入出来ない場合や耐震補強工事などのRC建物等の解体で採られる工法です。「(RC建物等の)手壊し」とも呼ばれますので工期が長くコスト高になります。 |
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◎ 圧砕機工法 昭和50年代に圧砕機が開発されて以来、従来のスチールボールや大型ブレーカーだけによる工法に代わりRC建築物等を解体する現在の主流です。油圧クラッシャーやショベルなどを可動ベースマシン(通称「ユンボ」)に取り付け、油圧を動力源にして刃を開閉させ、コンクリートを破砕、鉄骨や鉄筋を切断します。 |
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△ カッター(ウォールソー)工法 この工法は走行できる加圧機械に特殊なダイアモンドブレードをセットして部位別に切断。切ったコンクリをクレーンで吊り下げ上部階から順次部材別に解体するものです。 |
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△ ワイヤーソーイング工法 鉄筋コンクリートの構造物にワイヤーソー(ダイアモンドの切刃をワイヤーに巻付けたもの)を巻き、駆動機でエンドレスに高速回転させて切断するものです。 |
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△ アブレィシブウォータージェット工法 超高圧ウォーターに微粒ガーネットを混入、これを研磨剤として直径3mm程のノズルで鉄筋コンクリート面に噴出させ切断・解体する工法です。 |
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△ 静的破砕剤工法 コンクリ等の破砕に際し、圧砕機では刃の開口幅が狭い時や油圧ブレーカーを用いると振動・騒音が激しい場合、静的破砕剤を使用(併用)する工法が採られます。これはコンクリに穴をあけ、静的破砕剤をその穴に充填すると徐々に膨張し12〜24時間後に300kg/cm2以上となって強い破砕力を発揮し、鉄筋コンクリートにクラックが入り解体する工法です。 |
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△ ミニブラスティング工法 ビル等の解体に特殊火薬を使用し瞬時に崩壊させるアメリカの工法がTVで紹介されたことがありますが、そのアメリカでも火薬使用に伴う振動・騒音・飛石・粉塵等の公害が激しく保安上にも問題があるため実際の使用例は解体工事全体の6%程度に過ぎないと言われます。しかし環境への被害を最小限にして構造物の小部分を逐次破砕していく工法は可能で現にデンマーク、スウェーデン、ドイツなどで実用化されています。この工法は1穴当たりの火薬使用を10〜30gにとどめ、壁・スラブ(床)等に30〜80cmの間隔で穴をあけ火薬充填、段発電気雷管を使用して連続的に爆発させるものです。これは従来の手斫りに比べると所用時間も短く、作業員は1/3程度で施工できます。残念ながら現在、我が国では諸問題によりこの工法は実用化されていませんが十分な研究の上、実用化に取組んでいます。 |
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△ 直接通電加熱工法 鉄筋コンクリート構造物の鉄筋に低電圧・大電流の電気を流して鉄筋を加熱しコンクリートにクラックを発生させて解体を容易にする工法です。 |
一般の建築物の解体には殆ど採用されていませんが水中構築物、原子力発電所の炉、セラミックス部材などの 特殊構造物の解体に威力を発揮している新工法の一部を紹介いたします。
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◎ 火炎ジェット工法 超高速で高温のジェット火炎を噴射し、その高温・高エネルギーでコンクリートなどを溶断する工法です。 |
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△ レーザー工法 レーザー発振機から発振されたレーザービームを複数のミラーによって切断箇所に導き、集光ミラーまたは集光レンズでビームを絞り、それをコンクリートに当てて溶解・切断する工法です。 |
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△ マイクロウェーブ工法 コンクリート構造物にマイクロ波を照射し電子レンジと同様にマイクロ波の内部加熱の性質を利用してコンクリートを破砕する工法です。 |