都市開発に取り組む建設産業の中で、その「工事の始まり」を担う解体専門業者の団体です。

産業廃棄物 Industrial Wastes

廃棄物処理の問題は産業廃棄物、一般廃棄物を問わず現代社会の最も深刻な難問の一つとなっています。リサイクル法、建設リサイクル法が制定され再資源化及び分別解体などが義務づけられましたが、再生資源の利用については、義務づけられてないと言っても過言では在りません。
リサイクルしたものを使わなければ再生プラントが満杯になることは明らかであり更なる処分費の高騰をまねきます。それゆえ、その適正な解決の為に官民あげての取組みが急務であろうと思われます。

主な建設副産物の処理 | アスベストについて

[主な建設副産物の処理]

解体業を営む為には、建設業許可 (建設業法3条) 又は解体工事業登録 (建設リサイクル法21条) が必要です。また実際に作業を行う者、指揮する者にも様々な資格や技能講習が必要です。

解体建物から排出される廃材は大別して

  1. 木材
  2. コンクリート類
  3. 金属類
  4. 石膏ボード類
  5. 混合物(いろいろな物が混じったもの)

といった5種類に分けられ、それぞれ次のように処理されています。赤字の品目は「建設リサイクル法」で再資源化が義務づけられて居ります。

木材

解体現場で分別され、その60%がチップ工場に運ばれて燃料用、製紙用チップとして再利用できるように処理されます。また、廃木材類の場合その再利用は上述の通りですが、これもここ数年来は価格面で安価な原油に対抗出来ず、その需要は伸び悩んでいます。その為もあって廃木材の最終処分費用は年々かさむ一方になっています。(最近ようやく燃料用チップが見直されつつありますが、これとて先行きの安定的な需要増につながるかはまだ不透明なのが実情です)

コンクリート類

1971年以降『産業廃棄物』に指定され、許可された処分場以外では廃棄不可能になりました。また、コンクリート小割機、クラッシングプラントの開発によって最終処分の前に再利用の方法が講じられていますが再利用される廃棄物の量は50%に過ぎず大部分は埋立て処分に頼っていますが東京湾をはじめ埋立地の処分能力も底をつき始めており、新たな処分場の確保をどうするかが解体事業の直面する最大の難問となっています。

金属類

金属屑は有価物として売却すれば「産業廃棄物」では、ありません。又、そのリサイクル率もほぼ100%に近い状態です。有価物として売却せず廃棄物として処分すれば「産業廃棄物」の摘要を受けることになります。

石膏ボード類

建築物の内装に「必ず」と言って良いほど使われて居ります。従来は安定型最終処分地にて埋め立て処分されて居りましたが、最近では専門のリサイクルプラントで再生されるようになりました。しかしそのプラント数が極めて少ない為、リサイクル率は低く殆どは管理型最終処分場で埋め立て処分されます。

混合物類 (家具・家電・食器・衣類・書籍など及び建物のガラス陶磁器屑・廃プラなど)

その殆どが安定型又は管理型の最終処分地にて埋め立て処分されていますが、緊急の対策が求められています。その問題の一つに処分地の深刻な用地難という事があります。ここ数年来、建設関連廃棄物の量も増え続けています。ところが、都内、近県の廃棄物の最終処分地は殆ど満杯となり、最近はトラック輸送で福島、新潟、長野などの遠隔地に運んで処分しなければなりません。或いは海上輸送で四国や青森に運び処分するという事例さえ生じています。

家具・家電・食器・衣類・書籍などのような生活用品は、処分費用を節約する為にも、必ず発注者自らが全て処分なさって下さい。解体業者は「ゴミ屋」では在りません。特に家電は「家電リサイクル法」によりその処分が制限され解体業者では処分不可能です。また解体見積では、残置生活用品類の積み込み・運搬・処分は別途となって居ります。

こうして、建物解体による廃棄物処分はもはや民間企業の採算ベースで測るかぎり割に合わない、引き合わない仕事になりつつあり、処分費の高騰にもつながって居ります。といってそれが都市再開発の遂行という社会的・国家的ニーズのもとに避けて通れない課題である以上、国と自治体行政の積極的な支援が検討されるべきだと思われます。(現状では例えばチップの再利用にしても全て民間企業に委ねられ行政からの支援は皆無となっています)しかも、採算上の問題だけではありません。廃棄物の処理と再利用は同時に環境・資源問題の一環でありグローバルな自然保護のテーマにもつながっています。

[アスベストについて]

アスベスト(石綿)とは天然産出する鉱物繊維の一種で耐久性・耐熱性・耐薬品性に優れている為、耐火被覆材として建物の鉄骨およびデッキプレートの裏部分に、また吸着材として壁・天井などに吹付けられて使用されたほか、保温材として空調設備等にも用いられてきました。

特に昭和38年頃から50年初頭までには年間2万トン前後が使用されましたが、昭和50年9月30日以降、特化則(特定化学物質等障害予防規則)によってその使用が禁止され、昭和50年9月 30日以降は石綿によく似た岩綿やケイ酸カルシウム保温材の使用が主流となりました。
国際労働機構(ILO)の規則 ILOは1984年にアスベスト被害を防止する為、次のような内容で『石綿を安全に使用する為の実施要綱』を打ち出しました。

養生 全ての開口部を遮蔽する
発塵対策 フィルター機構を通して大気に放出し負圧にする
除去作業 呼吸防護具・保護衣を着用。シャワー設備を作る
除去石綿処理 不浸透性の容器に入れ内容が石綿である事を表示する

さらに1987年、ILO総会にはアスベストの安全使用に関する条約、勧告案が提出され、その国際基準がまとまりました。一般環境に関する主な条項は次の通りです。

  1. 飛散しやすいアスベスト物質を含有する構造物の取壊し及び除去に関しては条約に従って実行する能力があり作業を遂行できる者に行わせることができる。(第17条)
  2. アスベスト含有廃棄物は関係労働者や近隣住民に危険を生じさせない方法で処理し、処分場でも一般環境汚染を防止する措置を講じること(第19条)

日本における規制

  1. 労働安全にかかわる法規制
    昭和50年(1975)9年30日に「特化則」の改正が行われ、除去作業所での飲食などの禁止 (第38条の2)、除去作業等での湿潤化の義務(第38条の8)などが定められました。
  2. アスベスト廃棄物処理にかかわる規制
    廃棄物の処理法」の適用を受け除去された吹付けアスベストは建設廃材として扱われますが飛散防止と運搬・埋立処分の方法は次のように規定されています。
    • 十分に湿潤化した後、強度のあるプラスチック袋などで二重に梱包するか堅牢な容器に密閉して内容物がアスベストである旨を表示すること。
    • 埋立は処分場の一定の場所で行い、窪地を掘りアスベスト廃棄物を投入した後、最終覆土は2m以上とすること。
    • 事業者が処理業者に委託する場合はアスベストである事を明示し適正処理された事を確認する事。また、最終処分場の管理者は埋立てた数量と位置を帳簿に記載して保管すること。
  3. 解体等に伴う除去工事
    労働省は「建築物の解体または改修の工事における労働者の石綿粉塵への暴露防止等について」(61.9.6基発第34号)の通達による規制策を打出しています。また、昭和62年6月1日付の「石綿粉塵にかかわる建築物の解体または改修の工事の報告について」(東基発第403号)によって工事開始前の東京労働基準局に対する報告が求められる事になりました。さらに東京都も昭和63年5月「吹付け石綿除去に関する工事仕様書」を提示し、平成2年3月には「建築物等の工事にともなうアスベスト飛散防止対策指導要綱」(都環境保全局)を打出しました。それによってアスベストの飛散防止の技術的な基準が定まると同時に、平成2年4月20日以降に開始する建築物等の解体・改修工事については届出等を要する事になりました。
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